日々のトレーニング特集

マラソンの記録を1日でも早く伸ばすための練習メニューやペース設定は?

 

マラソンの練習メニューやペース設定の適性は、その人の走力や練習環境によって異なります。

プロのコーチに相談できれば良いのですが、一般的な市民ランナーにはその機会がないために、練習方法を見つけるまでに時間が掛かってしまいます。

私は32歳になった2017年から練習を再開して、これまでに10kmを39分→32分まで記録を伸ばせましたが、練習を再開して1年間は練習メニューが合っていなかったからか記録が伸び悩みました。

このままではいけないと思い、色々と調べて試行錯誤しながら練習メニューを変えた事で、2年目から徐々に記録が伸び始めました。

これまでの経験から感じているのは、マラソンの記録を早く伸ばすには、その人に適した強度で練習を積み重ねる事だと感じています。

余裕のある練習を継続しても記録が伸びにくいですが、逆に過度な練習を継続すると、知らぬうちに疲労が溜まり怪我をしてしまいます。

そのような事がないように、身体への負荷を最大限に高めながらも故障をしないような練習バランスを考えて、1週間の練習メニューを組み立てる事が重要だと思っています。

マラソン練習の種類とは?

マラソンの練習と言っても、鍛える目的によって種類がたくさんあります。大まかに分けると、長く走るための脚力を鍛える「LSD」「ジョグ」、有酸素運動能力を高める「ペース走」「ビルドアップ走」、スピード持久力や心肺機能を高める「LT走」「インターバル走」「レペティション走」などがあります。

記録を伸ばすためにはどの練習も欠かせない練習ですが、目的や種目によって練習の割合が変わってきます。

トレーニングの強度とは?

冒頭にも書きましたが、マラソンの練習は、強度の低い練習を継続しても記録が伸びませんし、高強度の練習を継続しては疲労が溜まり怪我をしてしまいます。

そのために「低強度」「中強度」「高強度」にトレーニングを分けて考えて、バランス良く鍛える事が大切だと思っています。

最大心拍数から練習強度を考える

トレーニングの強度を考えるのに最も使われているのが運動中の心拍数です。特に最大心拍数から算出するのが一般的です。

最大心拍数とは…?

脈拍が最も速くなる限界値の心拍数は、年齢が高くなるほど下がると言われています。最大心拍数の最も簡単な計算方法は「220-年齢」で測れます。どの人にも当てはまる数字ではありませんが、練習強度を見極めるための簡単な指標になります。

最大心拍数から考えた時に、心拍数を70%以下に抑えるトレーニングが「低強度トレーニング」になります。また、70%〜90%のトレーニングが「中強度トレーニング」、90%以上の負荷をかけるトレーニングを「高強度トレーニング」として、大きく分けて3種類に分ける事が出来ます。

最大心拍数の70%以上の負荷をかける「中強度」と「高強度」のトレーニングは「ポイント練習」と呼ばれて、頻度を多く取り入れることが出来ません。ポイント練習は身体の回復を考えると週2回〜3回程度が限界です。

そのために「低強度」と「中・高強度」の練習をバランス良く取り入れて、身体に負荷をかけるのが一般的です。

トレーニング強度まとめ

  • 低強度:最大心拍の70%以下のトレーニング
  • 中強度:最大心拍の70%〜90%のトレーニング
  • 高強度:最大心拍の90%以上のトレーニング

1週間の練習スケジュール例

曜日 トレーニング強度
月曜日 低強度
火曜日 中強度(ポイント練習)
水曜日 低強度
木曜日 中強度(ポイント練習)
金曜日 完全休養
土曜日 低強度
日曜日 高強度(ポイント練習)

私の練習の組み立てとしては、ポイント練習の翌日は低強度のトレーニングを行っています。日・火・木曜日のポイント練習で疲労が溜まるので、金曜日は疲労を抜くために完全休養にしています。

練習スケジュールは疲労の蓄積度合いで変えますが、1週間に1回は必ず完全休養を取るようにしています。

完全休養後は、土曜日の低強度トレーニングで身体を整えてから、日曜日に高強度トレーニングを取り組みます。日曜日にはマラソン大会があるので、大会があれば高強度トレーニング代わりにしました。

日曜日の大会などで疲労が残っていれば、火曜日は低強度トレーニングに変更したりはしますが、基本的には上記のスケジュールで練習を進めました。

トレーニングを強度で分類する

マラソン練習の中で、どの練習がそれぞれのトレーニング強度に該当するか、具体的な練習メニューについて紹介します。

低強度のトレーニング

最大心拍が70%以下のトレーニングが「低強度」のトレーニングです。低強度トレーニングは最大心拍の50%〜70%の中でさらに2種類に分けて考えられます。

①最大心拍の50%〜60% (低強度)

ウォーキングやLSDなど、息が上がらないトレーニングの強度です。ウォームアップやクールダウンもこの心拍領域です。簡単に表現すれば「軽く汗をかく練習」です。強度の高い練習後やマラソン大会後など、疲労を抜くためにジョギングをする時はこの心拍領域に抑えて走ります。

②最大心拍の60%〜70% (低強度)

ジョギングで会話をしながら余裕を持って走れるペースがこの心拍領域です。時間は40分〜60分を継続して走ります。このペースで走るのが脂肪燃焼に適しているので、ダイエットなどで体重を落とすには最適の練習強度です。基礎となる脚を作るために必須の練習です。

中強度・高強度のトレーニング

ここからが「中・高強度」のトレーニングになります。ポイント練習として週2回程度取り入れる練習です。最大心拍の70%以上の負荷を掛けるトレーニングは、無酸素運動となり筋力向上にも繋がります。

③最大心拍の70%〜80% (中強度)

早いペースのジョギングがこの心拍領域です。俗に「ペース走」と言って、フルマラソンを走り切れるペースよりも若干遅いペースで走る練習が該当します。距離は8000m〜12000mを走るのが一般的です。有酸素能力の向上が目的です。

④最大心拍の80%〜90% (中強度)

練習後半では息があがり余裕が無くなる強度の練習です。この領域を乳酸性閾値(LT値)と言います。代表的な練習が「LT走」で、20分間を走り続けられるギリギリのペースで走る練習です。ペース設定次第ですが、必然的に距離は6000m〜8000m程度になります。この領域で走り続ける事で乳酸が溜まりにくい(疲れにくい)体質になる事で、持久力の向上に繋がります。

⑤最大心拍の90%以上 (高強度)

全力に近いペースで走るために全く余裕がない強度の練習です。最大酸素摂取量を高めて運動能力の向上や筋力の向上が目的となります。インターバル走やレペティション走がこの領域になります。練習メニューは様々なパターンがあります。短い距離のインターバル走は200m×20本や400m×15本。中距離であれば1000m×8本や2000m×5本などです。レペティションならば1000m×2本や3000×2本などしっかりと休憩して走ります。

トレーニングの種類とは?

定番はダニエルズ式トレーニング

練習の強度を考えるのに心拍数で考える事を紹介しましたが、心拍数は心拍計測機能付きの時計など、心拍計測器がないと測定出来ません。

そこで、心拍計測器がなくても簡単に練習ペースを決める事が出来るのがダニエルズ式トレーニングです。インターネットで「練習ペースを計算する電卓サイト」などが公開されているので、そこから練習ペースの算出が出来ます。

ダニエルズ式トレーニングとは?

トレーニング強度をEペース(Easy)、Mペース(Marathon)、Tペース(Threshold)、Iペース(Interval)、Rペース(Repetition)5種類に分けて考えたトレーニングです。

◼︎ ダニエルズ式のVDOTランニング電卓
https://runsmartproject.com/calculator/

例えば5000mの自己ベストからダニエルズ式のVDOTランニング電卓で計算すると、各練習のペース設定は以下となります。

5000m記録 Eペース
※JOG
Mペース
※ペース走
Tペース
※LT走
Iペース
※インターバル走
22分00秒 5:47 4:59 4:40 4:19
21分30秒 5:40 4:52 4:34 4:12
21分00秒 5:33 4:46 4:29 4:07
20分30秒 5:25 4:39 4:22 4:01
20分00秒 5:17 4:32 4:16 3:55
19分00秒 5:02 4:19 4:04 3:45
18分00秒 4:48 4:05 3:52 3:34
17分00秒 4:32 3:52 3:40 3:22
16分00秒 4:18 3:38 3:28 3:10
15分00秒 4:02 3:24 3:15 3:00

※練習のペース表示は全て「/km」です。

例えば、5000mの自己ベストが「20分00秒」の方は、Eペース(JOG)が5分17秒/km、インターバル走(1000m)は3分55秒/本が目安になります。自己ベストが「17分00秒」の方であれば、Eペースが4分32秒/km、インターバル走は3分22秒/本です。

ダニエルズ式のVDOTランニング電卓では5000mの自己記録でなくても、1500m・10000m・ハーフマラソン・フルマラソンなどの各種目からでも練習ペースの算出が出来ます。まずは自己記録を持っている種目から練習ペースを調べてみて下さい。

ダニエルズ式トレーニングの注意点

ここで練習のバランスの話しに戻りますが、ダニエルズ式トレーニングで最も低い強度のEペースは最大心拍の65〜78%ですので、冒頭に説明したトレーニング強度としては「③最大心拍の70%〜80% 」に該当します。

つまりEペースと言えど疲労が溜まる練習です。何度もお伝えしますが大切なのは練習の継続です。Eペースでの練習で翌日に疲れが残ってしまい、ポイント練習に支障があったり休養日が増えてしまうようであれば、②最大心拍の60%〜70% 」の強度の練習を組み込むなどして、バランスよく鍛える事が大切です。

Polarizedトレーニングとは?

効率よく持久力を向上させる練習法のひとつに「Polarizedトレーニング」があります。

Polarizedトレーニングとは?

Polarizedは日本語で「分極させる」という意味があります。Polarizedトレーニングは、低強度と高強度の練習を多く取り入れて、中強度の練習は取り入れないという両極端な練習方法です。 

Polarizedトレーニングでは①〜③の最大心拍を80%以内に抑える「低強度」の練習と⑤最大心拍の90%以上 」の「高強度」の練習を主軸として、LT走などの「中強度」の練習を行わない練習方法のことです。

低強度:高強度=80%:20%の比率で練習します。

中強度の練習をポイント練習の中心とするランナーが多い中で、あえて中強度のトレーニングを省く目的は、高強度の練習時に徹底的に負荷をかけるためです。高強度練習以外の日は疲労回復に努める極端な練習方法です。

そのためにPolarizedトレーニングのポイントは、高強度トレーニング時に練習の質を高められるかが鍵となります。1人で練習する時に心拍を90%以上まで高めるトレーニングは容易ではありません。

この手法を取り入れるなら、例えば毎週に大会に参加したり、定期的に開催される練習会に参加するなどして、高負荷をかける手法が容易だと思います。

練習に対する考え方

スピードトレーニングの重要性

記録を伸ばすためには、スピード持久力とスタミナ強化をバランス良く鍛える事が大切です。ペースの遅い練習だけでは、腕振りが小さくストライドが狭いフォームに固定されてしまいます。そのために大会でスピードを上げようとしても、普段の練習から鍛えていないために対応できません。

フルマラソンを中心に考えているランナーは、スピードが不要と考えて持久力を鍛える練習を優先しがちですが、最大スピードはどの種目にも通じる能力です。

遅い動きに対応した筋肉は鍛え易いので、速い動きを意識的に取り入れて、瞬発力と持久力を兼ね備えた筋肉になる事が大切です。

レペティションやインターバル走を取り入れる事で、心拍機能の向上だけではなくランニングフォームが改善されて、レースペースでも楽に走れるようになります。

インターバル走などのスピード練習は疲労が残り易く怪我のリスクが高まるために、身体への負荷を考える必要がありますが、必ず取り入れるべき練習です。

ポイント練習は何故週2回なのか?

筋トレで筋肉を肥大化させる時に「超回復」と言うワードがよく使われます。

超回復とは…?

筋トレ後は筋肉が損傷する事で筋肉量が一時的に低下しますが、一定期間の休息を取ることで筋肉が回復して、筋トレ前よりも筋肉量が増加します。一般的に超回復は24時間〜48時間の休息が必要と言われています。

これはマラソン練習にも当てはまると言われています。高強度トレーニング後は筋肉が損傷して筋肉量が低下している状態のため、負荷の高いトレーニングをしても怪我のリスクが高まるだけです。

高強度トレーニングの翌日に思うように走れないのも、身体がこの状態にあるからです。休息期間に中途半端な練習をしても、以前のトレーニング効果を薄めるだけです。

この休息期間は刺激を与えずに疲労回復を優先にしますが、マラソンランナーは体重維持も大切なので「完全休養」ではなく「低強度」の練習を取り入れます。

過度に疲れが溜まっている場合は無理をせずに「完全休養」にします。調整をしながら疲労回復後に「ポイント練習」を取り組むために必然的に週2回が限度になります。

月間走行距離の考え方

マラソン練習の指標の一つに月間走行距離があります。「月間走行距離〇〇km以上を目指している」との話しを聞く事がありますが、トレーニングを行う上で月間走行距離を意識する必要はないと思っています。

月間走行距離で250km以上を走らなければならないランナーはごく一部です。月間走行距離を意識し過ぎて低強度の練習で走行距離を伸ばしても意味はありません。

市民ランナーは練習の時間を確保する事が難しく、限られた時間の中で練習しなければなりません。効率良く記録を伸ばすためには練習の質を追求して、1回の練習で身体への負荷を高める事が記録を伸ばす近道だと思っています。

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